はじめに
私にしては珍しく、2日連続の読書日記になります。技術本だけだと飽きて途中で止まってしまうので、気分転換に自己啓発本を読むことがあります。今回はその両方を同時に読み終えました。
今回記事にするのは、日経BP社の "Unlearn(アンラーン) 人生100年時代の新しい「学び」"という本です。
柳川範之,為末大 Unlearn(アンラーン) 人生100年時代の新しい「学び」 2022/1/20
以前から、アンラーンという言葉を聴いて少し調べたりしました。その中で読みたいと思ってストックしていた本をようやく読めました。
内容をざっくりかいつまんで
この本は、東京大学で経済学を教えている柳川範之さんと、陸上で有名な為末大さんの会話を掲載しつつ、文章で補足しつつという構成になっています。印象に残った言葉を中心に自分の理解とコメントを加えて説明します。
1章
「アンラーン」は、「学び」の否定ではありません。 知識や経験をよりよく活かすためには、「思考のクセ」からの脱却が必要です。そのプロセスこそが「アンラーン」です
アンラーンをわかりやすく説明した文章です。一旦学んだことをリセットするというイメージを持っていましたが、クセを取り除くという言葉がとてもしっくりきました。
今まで身につけてきた「こうなれば、ああなる」的なパターン化された「思考のクセ」を見直して、一旦取り払って、柔軟な発想ができるようにしておくこと
この文章の通り、私も効率よく成功できるように、いくつかのパターンを作ってしまいます。ただ、このパターンに固執すると新たな発想ができなくなり、環境の変化に対応できなくなってしまいます。この本では為末さんのスポーツの事例やコロナでスタイルが一変したことなどをもとにわかりやすく説明しています。
また、大きな成功体験をした人ほどパターンに囚われすぎてしまうということも書かれていました。私もうまくできたプレゼンや設計を使いまわそうとしてしまうので、毎回部分的にゼロから考え直して改善していくことを忘れないようにしないといけないと改めて感じました。
これまでに作り上げてきたものや、今、手にしているものの延長線上に、当たり前のように未来を設定しない、という姿勢です。未来図を考えるときに、「今までに積み上げたものの上に、さらに高く積んでいくことが正しい道だ」という発想から抜け出す必要があります
ここ数年はエンジニアに身を置く予定ですが、その先の未来でいろいろなことができるように、もう少ししたらエンジニアとは全く関係ないことを仕事でも副業でも家庭でもやる必要があると感じました。なので、このブログも今の業務の延長線じゃない分野についても少しずつ書けたらなと思います。その際は気休めに読んでいただけると嬉しいです。
アンラーンの必要度がわかる7つのチェックリスト
基本的には当てはまらず、唯一「何かをしない言い訳に、仕事が忙しくてとつい言ってしまう」が当てはまりました。仕事では昨年転職した、プライベートでも家庭環境が変わったということもあり、当てはまらないものが多かったです。環境に依存せず、色々やれているのかもしれません。チェックリストに興味がある人はぜひ本を買って読んでください。
2章
2章はアンラーンを実践していくことについて書かれています。
まずは、すべてを洗い出していきましょう。文字化するのがいちばん効率的です。
固定化した思考を発見し、ときほぐす際に最初にやることです。いざやってみるとどんどん見つかりそうで、やらねばと思いました。
「前例至上主義的な思考」に囚われていないかどうかをチェックしてみましょう。
SIerの設計で見かける既存踏襲がまさに当てはまるでしょう。こういった言葉は便利でしたが、理由を考えず思考を放棄したことで、後々困ることになります。私は、なるべく使わないようにしていたので、ある意味実践できていたのかもしれません笑
① 「これは、今の会社じゃなくても通用するだろうか?」と問う
② 今の仕事に就こうと思った理由を問い直す
③ 専門外・業界外の人と話す
④ 多様な人、異質な人と接する
⑤ 自分がどう見えているか、どうなったらより良いと思うかを、周囲の人にインタビューする
⑥ 「行動を言葉だけ」で、「自分の仕事を専門用語抜き」で表現する
⑦ 副業する
⑧ 「早くなじもう」「それらしくなろう」としない
小さなアンラーンをする8つの方法です。客観的な意見や全く違う文化に触れることで自ずと自分のクセが見えてくるのだと思います。
私の場合、前職の勤め初めは企業文化に染まり①や②を考えられていませんでした。しかし、③や④を実践しているうちにそれではダメだと感じ、自然と①や②を実践するようになりました。私は幸い、大学時代演劇という個性豊かで、ITに限らずいろいろな人と話す楽しさを知っていた甲斐もあり、自分の知らない常識をインプットする機会に恵まれいました。仕事でも転職していった同僚の方といまだに会ったり、勉強会などで社外の人と会ったり、外部の人と接点を持てば自ずと実践することができると思います。⑤については恥ずかしくてやれていないです。飲み会で同僚に聞いたり、目標の振り返りの時に上司に聞いてみますかね...⑥は家族に話したり、友人に話すことで自ずと実践できるのではないかなと思いました。⑦と⑧は人それぞれですかね...
3章, 4章
3章はアンラーンを実践しようとした時にぶつかる弊害とその乗り越え方について説明しています。このままでいいであったり、今あるものを手放したくないなどといった変わろうとしない人の考えが壁になります。ここで解説している壁については納得がいっているのですが、乗り越え方のヒントについて私自身ピンときておらず、うまく説明できないので割愛させていただきます...申し訳ございません。
4章はアンラーンをキャリアの武器にする方法について書かれています。ビジネスでつまづいた時の打開策、コロナやAIといった絶えず変わっていく現代で成功するためにアンラーンは重要であると説明しています。確かに、環境の急激な変化には今までの方法に固執せず、柔軟に対応できないといけないし、一杯一杯だったらその対応もできないので余白・余裕を持っていくことは重要です。
いったん止まる、一休みする。その時間をきちんと確保することが重要です。
4章ではこの言葉が一番印象に残っています。2章で語ったような客観視だけではなく、何もやらないということも重要です。外国人が長期休暇を取るといったイメージです。ただ、同じことをいざやろうと思うと躊躇してしまいます。そう思う時点で私はまだ囚われているのかもしれません。私ごとですが、育休を近々取る予定で、その際勇気を持って長期で取ってみます。復帰後、振り返ってみて効果的であれば今後も長期休暇を取るようにしていきたいと思います。
感想
最後の方は、アンラーンを推しすぎと思いつつも、納得することが多く書かれている良い本です。為末さんのスポーツやキャリアチェンジの例、コロナの例などとてもわかりやすく、アンラーンって重要だなと改めて思いました。年齢を重ねていくと今の方法に固執したり、若者についていけないと思うようになってしまいがちです。そういう方と仕事をする際はとても苦労します。私自身もそうなってしまう恐れがあるため、この本に書いてある小さなアンラーンを繰り返し実践し、どんどん変わっていくこの世の中に頑張ってついていきたいと思います。
以上、最後まで読んでいただきありがとうございました。