カンファレンスでの公式サイト作成の知見をまとめてみる
はじめに
技術イベント・カンファレンス運営のノウハウ(2枚目) Advent Calendar 2025の12日目の記事です。
現在、私はSRE Kaigi 2026のコアスタッフとして参加しています。 コアスタッフも各チームに分かれていて、私はメディアチームに所属し、配信と公式サイトの作成に関わっています。 公式サイトの作成がほぼ終わり、この知見をまとめようと思った矢先に、アドベントカレンダーの枠が空いていたのでブログにまとめました。
本記事では、カンファレンスの公式サイト作成の動きを中心に取り上げていて、技術やデザインについては触れません。 また、経験したカンファレンスは数少ないためあくまでも一例であるということをご了承ください。
コミュニケーションの重要性
カンファレンスの公式サイトでは、コードを書くなどの技術や人を惹きつけるデザインももちろん重要ではありますが、コミュニケーションが非常に重要だと考えています。 なぜなら、公式サイトはイベントの内容、すなわちコアスタッフの各チームが決めた内容を対外的に知らせるための手段であるが故に、サイト作成者のみでは決められないことがほとんどだからです。
また、会社の業務と違って皆ボランティアでやっているため、明確なスケジュールが決まっているわけでもなく、担当者が作業できる時間や期間も違います。 そのような状況下で依頼ベースでコンテンツ作成をするようにすると、依頼が直前に来て、作業者の時間も確保できず、締め切りに間に合わないといった事態が発生します。 そのため、連携チームのやり取りをウォッチしてアクティブにタスクを作っていくことが、結果的に自分たちを楽にします。
未経験者がこれをやるのは非常に酷なことなので、その助けになればと思い、各フェーズでどのような情報を拾ってくるのがいいのかをまとめ、この記事を書きました。
各フェーズでやること
立ち上げ
いち早く宣伝ができるようにサイトを立ち上げます。関わってくるのは主催者とデザイナーの方です。
まず、立ち上げ時にはサイトそのものを作る必要があり、各種サービスのアカウントなどが必要になってくるので主催者とやり取りをして決めていきます。
- リポジトリの作成
- プロジェクトの作成
- ホスティング選定・リリースパイプラインの作成
上記と並行して、デザイナーが動き始めます。デザイナーも動き出しに必要とわかっているので、
- ロゴ
- サイトのトップデザイン
- 配色・カラースキーマ
あたりを決める議論が進むので、やり取りしているチャンネルをウォッチして、反映します。 上記内容と開催概要さえ書かれていればとりあえず立ち上げは完了です。
告知していく
立ち上げたら、告知する部隊(ここではプロモーションチームとします)との連携も必要になります。 まず、プロモーションチームがSNSで告知するために、サイトのtitle, description, OGP画像あたりの設定が必要になります。マストではないのですが、SNSで告知した時の見栄えを考えるとやった方がいいと思います。 他にも、News欄を用意するか、ブログ欄を用意するかあたりは公式サイトのコンテンツに関わってくるため調整が必要になります。 小さなところで言うと、Xのアカウントをどうするかなどもあります。
告知が終われば、あとは粛々と作業するフェーズが続きます。ヘッダーやレスポンシブ対応などやることはいろいろありますが、
- 行動規範
- プライバシーポリシー
- お問い合わせ窓口(フォーム or メール)
が必要になってくるので、こちらも主催者と相談しながら決めて随時反映していきます。
スポンサー関係
まず、スポンサー周りのインプット情報はスポンサー募集ページになります。 ここに載せていることを実現することがスポンサーとの約束であるため、スポンサー募集ページ内でサイトに関係あるものをすべてピックアップします。 ロゴ掲載だけにとどめているものもあれば、ジョブボードを掲示するなど色々あるのでチェックしましょう。
次にチェックするのはスポンサーの提出物一覧です。スポンサーチームはスポンサーに提出物の一覧や締切を提示するためにNotionページやスライドを作ります。 スポンサー関連で実現したいことがあれば要望を伝える必要がありますし、ないとしても自分が作るために必要最低限のものがあるかは確認しましょう。 以下、私が関わった一例です。
- ロゴ
- ロゴガイドライン
- 会社名・会社概要
- リンクサイト
- 会社SNSアカウント
- ジョブボード
- スポンサーセッション内容
注意点は2つあります。1つはロゴのファイル形式です。公式サイトとしてはsvg,png,jpegあたりが必要になり、デザイナーとしてはaiファイルを求めることが多いです。aiファイルで集めてsvgにしてもらうなど、段取りは決めておきましょう。もう1つは締切です。締め切りに間に合わない事例が必ず発生すると思っておき、X日までに提出すれば、Y日までに掲載しますといった形で集めると良いと思います。 全員を待つことは、逆に締め切りに合わせた企業に失礼になるため注意が必要です。
タイムテーブル公開
タイムテーブルはCfPを取りまとめているチーム(以降セッションチーム)のやりとりをウォッチします。 インプットとなる情報は、CfP募集要項とタイムテーブルになります。 募集要項には選考スケジュールの記載があるはずなので、そのスケジュールから掲載スケジュールを決めます。 選考が終わったらタイムテーブルに当てはめて実装します。自前で実装するのか、CfPで使われたシステムにリンクするのかなどはチーム内もしくは主催者と擦り合わせてやりやすい方にすればいいと思います。
各セッションにはパーマリンクとOGP画像を設定すると、プロモーションチームも登壇者も宣伝がしやすくなるのでおすすめです。
注意点は、修正の段取りです。登壇者からタイトルや内容を微修正したいということはよくあります。CfPで使われたシステムは修正したのに、公式サイトには反映されなかったということがないよう、修正の期日であったり段取りを詰めておくと防げると思います。ちなみに、CfPのページでは登壇者が1人しか登録できないが、実は複数人登壇だったというケースもありました。
参加者募集
チケットを管理しているチームのやり取りをウォッチします。 基本的にはチケットを募集するシステムへリンクをつけるだけなので、いつ公開かとリンク先がわかっていれば問題ないです。 必要に応じてチケット種別や価格を記載といった補足をすれば親切になると思います。
イベント終了後
アーカイブ動画やスライドの公開が必要になるのか事前に確認しましょう。もしアーカイブ動画を公開する場合は、Youtubeなどを埋め込む作業が最後に待っています。
おわりに
記事にまとめて、たくさんのチームと関係しているなと改めて思いました。技術・デザインだけでなくコミュニケーションもそれだけ重要だということだと思います。 コミュニケーションは大変かもしれませんが、その中で色々な社外の方と関われるのはカンファレンスのスタッフの醍醐味だと思います。 この記事を見て興味を持った方はぜひ興味あるカンファレンスにスタッフとして参加してみてください。
自分としては流れがわかってきたので、デザインの勉強をしてもっとこれいいなと思えるものができたらと思っています。 AIの進展が凄まじく、公式サイトを作るのがとても楽になっています。一方で、似たようなサイトだなと思うことも多くなってきているのではないでしょうか。 私もそう思います。だからこそデザインを勉強して差をつけられたらなあと思った次第です。まだまだ駆け出しではありますが。
私の拙い知見が他のカンファレンスでも役に立てたら幸いです。最後まで読んでいただきありがとうございました。